1. ゲーム背景
1.1 世界観設定
『エイリアンズ』(日本版タイトル:エイリアンズ、英題:Aliens)の物語は、ジェームズ・キャメロン監督による1986年の名作SF映画『エイリアン2』の直後から始まります。プレイヤーは、エイリアンに完全に占拠された惑星LV-426の植民地「ハドリーズ・ホープ」に降下します。
救難信号を受けて到着した海兵隊の特捜小隊は、そこがすでにエイリアンの孵化場と化していることを知ります。通気口からは不気味な嘶きが響き、廊下の壁はエイリアンの分泌物で覆われ、天井には寄生された入植者たちが吊るされています。プレイヤーはエレン・リプリー中尉またはドウェイン・ヒックス伍長となり、M56スマートガンを手にエイリアンの巣窟の深部へと潜入します。目的はすべてのエイリアンを殲滅し、唯一の生存者である少女ニュートを救出して脱出することです。
映画版とは異なり、コナミはゲームオリジナルのエイリアンの変種を多数追加しました。これにより敵の種類が豊富になっただけでなく、各ステージに未知の恐怖が満ちています。ゲーム全体が終末的な工業SFの雰囲気に包まれており、コナミ特有の電子音楽が、騒がしいゲームセンターの中でもプレイヤーに強烈な圧迫感を与えます。
1.2 開発の歴史
『エイリアンズ』は1990年3月にコナミからアーケード用として発売されました。ライセンス元は20世紀フォックスです。ゲームディレクターは岡本悟、プロデューサーは廣下浩司、メインプログラマーは石川博隆とK. Ozaki、キャラクターデザインは中村健吾、音楽は足立雅則が担当しました。
本作はコナミ独自のGX875基板で動作し、メインCPUには3MHzのカスタムプロセッサを搭載。オーディオシステムにはZ80サブプロセッサとYM2151およびK007232音源チップを組み合わせ、最大512色のパレット、288×224ピクセルの解像度、60Hzのリフレッシュレートを実現しました。1990年当時、このスペックはコナミの中〜上位モデルに相当し、滑らかな横スクロールシューティングと密集したエイリアンとの戦闘を支えるのに十分な性能でした。
1990年1月にロンドンのATEIショーで世界初公開され、同年2月のAOUショーを経て3月に正式発売。同月にはシカゴのACMEショーでも北米市場向けに披露されました。ACMEショーでは『RePlay』誌や販売業者から「ベスト・ニュー・コンバージョン・キット」に選出。売上面でも米国娯楽機械協会(AAMA)から年間銀賞を授与され、同年のコナミのアーケードゲームとしては『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』に次ぐ第2位のヒット作となりました。
特筆すべきは、本作が家庭用ゲーム機に一切移植されなかったという点です。ファミコンやスーパーファミコン、メガドライブ版も存在しません。その理由は、1990年という発売時期が映画の公開から4年経過しており、家庭用移植のベストタイミングを逃していたためと考えられます。これにより本作は「アーケード独占」の希少な作品となり、エミュレータが普及するまで、ゲームセンターでしか遊べない幻のゲームとなっていました。
2. キャラクター紹介
『エイリアンズ』では2人のキャラクターを選択可能です。操作感や基本性能は同じですが、外見や設定が異なります。両者とも標準装備としてM56スマートガンを携行しており、特殊武器を拾うことで火力を強化できます。
2.1 エレン・リプリー(Ellen Ripley)——1Pデフォルトキャラクター
| ステータス | 評価 |
|---|---|
| パワー | ★★★ |
| スピード | ★★★ |
| スキル | ★★★ |
- 強み:1Pデフォルトキャラであり、映画の主人公そのもの。没入感は抜群です。ゲーム版のリプリーは金髪のショートカット(映画のシガニー・ウィーバーは茶色のロングヘア)にデザインされており、低解像度の画面でも視認しやすくなっています。
- 弱み:純粋なゲーム性能はヒックスと完全に同じで、独自の優位性はありません。
- 評価:ゲーム史上最も早い時期に登場した女性主人公の一人として、リプリーの存在は記念碑的です。1990年のゲームセンターで、女性キャラクターが重火器でエイリアンを掃討する姿は、多くのプレイヤーに強烈な印象を残しました。初めてプレイするなら、リプリーを選ぶのが最も正統な体験と言えるでしょう。
2.2 ドウェイン・ヒックス伍長(Corporal Dwayne Hicks)——2Pキャラクター
| ステータス | 評価 |
|---|---|
| パワー | ★★★ |
| スピード | ★★★ |
| スキル | ★★★ |
- 強み:海兵隊伍長という設定から、「プロの戦闘員」としてのイメージが際立っています。映画版よりも精悍なデザインです。
- 弱み:性能はリプリーと完全に同じで、差別化された強みはありません。
- 評価:2人協力プレイでは、ヒックスが2Pの唯一の選択肢となります。リプリーとヒックスが肩を並べて戦う体験は、映画で二人がエイリアンの巣窟へ突入する名シーンを完璧に再現しています。性能差はありませんが、この「映画の相棒」感こそがアーケード協力プレイの醍醐味です。
総評:『エイリアンズ』のキャラ選択は「性能の取捨選択」ではなく「アイデンティティの選択」です。カプコンの『エイリアンVSプレデター』等とは異なり、コナミはキャラクターを「平等」にし、差別化を武器システムに委ねる道を選びました。
3. 操作方法
3.1 基本操作
『エイリアンズ』は8方向レバー+2ボタンという、コナミのアクションシューティングらしいシンプルで直感的な操作体系を採用しています。
| ボタン | 機能 |
|---|---|
| 1ボタン | 立ち撃ち(スマートガンまたは現在の特殊武器) |
| 2ボタン | しゃがみ撃ち / 手榴弾投擲(装備時) |
| 同時押し | 手榴弾投擲(装備時の予備操作) |
横スクロール移動と、第三者視点での固定射撃の2つのモードがあります。横スクロール面では『魂斗羅』のように上下左右に自由に移動でき、特定のステージ(APC護衛など)では、画面固定のレールシューターモードに切り替わり、照準を操作して戦います。
3.2 特殊武器とアイテムシステム
特殊武器は空から降ってくる補給箱から入手し、現在のメイン武器と入れ替わります。すべての武器には弾数制限があり、尽きると自動的にスマートガンに戻ります。
| 武器名 | 特徴 |
|---|---|
| スマートガン | 初期武器。弾数無限。連射速度は中程度で、最も信頼できるメイン火力 |
| 火炎放射器 | 近距離範囲攻撃。群がるエイリアンに有効だが射程が短い |
| 3ウェイガン | 前方3方向に弾を撃つ。雑魚処理効率が最高で、多くのプレイヤーに愛される |
| ミサイルランチャー | 単発ダメージが最大。ボス戦で強力だが連射が遅い |
| グレネードランチャー | 爆発範囲ダメージ。密集した敵に有効だが弾数が少ない |
| 手榴弾 | 画面全体を攻撃。緊急時の切り札 |
3.3 パワーローダー(Power Loader)
特定のステージでは、映画でおなじみの黄色いパワーローダーに搭乗できます。移動速度は低下しますが攻撃力が大幅に上がり、機械アームによる近接攻撃でエイリアンを粉砕できます。最終決戦でのエイリアン・クイーンとの対決は、映画のクライマックスを完璧に再現しています。
4. ステージ攻略とボス戦
『エイリアンズ』は全6ステージ構成(日本版。海外版はステージ間にAPCのレールシューティングパートが追加されます)。各ステージには異なる雰囲気とボスが用意されています。
ステージ1:居住区(Living Quarters)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ステージ | ハドリーズ・ホープの居住区。薄暗い廊下、点滅する照明、エイリアンの分泌物で覆われた壁 |
| ボス | 巨大エイリアン・ウォーリアー(2段階) |
| 攻略 | 第1段階は巨大で動きが遅いため、距離を取ってスマートガンで攻撃。頭部を破壊すると第2段階へ。首なしで突進し、プラズマ弾を放ってきます。同じラインに留まらず、上下に移動して突進を避け、硬直を狙って反撃しましょう |
ステージ2:工場区(Factory)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ステージ | 巨大なパイプ、蒸気、溶鉱炉が立ち並ぶ工業地帯 |
| ボス | 強化型エイリアン・ガード |
| 攻略 | 非常に高速なボス。ステージ内の爆発ドラム缶は諸刃の剣です。雑魚を優先して処理し、開けた場所で戦いましょう。ボスが突進してくるため、火炎放射器が非常に有効です |
海外版限定:このステージ終了後、APCのレールシューティングパートが発生します。日本版では省略されています。
ステージ3:工場深部(Factory2)——通気口&エレベーター
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ステージ | 狭い通気口から、崩れそうな工業用エレベーターでLV-426の深部へ降下 |
| ボス | 小型エイリアン四重奏(Shrinky-Dink Aliens) |
| 攻略 | 地面から現れ、徐々に巨大化します。大きくなる前に攻撃して撃退しましょう。エレベーター降下中はケーブルを守る必要があります。ここでパワーローダーが登場し、近接攻撃でエイリアンを一撃で倒せます |
ステージ4:エイリアン・クイーンの巣(Queen Alien's DEN)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ステージ | 巣の核心部。卵が散乱し、寄生された犠牲者が吊るされている |
| ボス | エイリアン・クイーン(初遭遇) |
| 攻略 | 少女ニュートを救出するステージ。クイーンは巨大で、雑魚を次々と召喚します。3ウェイガンで雑魚を掃討しつつクイーンを攻撃しましょう。地面の卵に近づくとフェイスハガーが出てくるので注意 |
ステージ5:脱出ルート(Escape Route)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ステージ | 崩壊する通路を逆走する脱出劇 |
| ボス | エリートエイリアン群 + トラッカー級大型エイリアン |
| 攻略 | 常に前進を強いられるステージ。飛行エイリアンが多いため、しゃがみ撃ちを活用しましょう。ボス戦前に雑魚ラッシュがあるため、手榴弾を温存しておくのが賢明です |
ステージ6:戦艦スラコ号(Battle Ship SULACO)——最終決戦
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ステージ | スラコ号の格納庫 |
| ボス | エイリアン・クイーン(最終決戦、パワーローダー戦) |
| 攻略 | 第1段階は距離を取り、ミサイルやグレネードで攻撃。第2段階でパワーローダーに搭乗し、近接格闘戦へ。攻撃の隙を突いて反撃しましょう。結果により2つのエンディングに分岐します |
ダブルエンディング:①エアロックから宇宙へ吹き飛ばす(映画再現)、②徹底的に戦って爆発させる(高火力が必要な上級者向け)の2種類があります。
5. 攻略のヒント
5.1 生存テクニック
- 常に動くこと:立ち止まるのは死を意味します。上下移動で突進を回避しましょう。
- しゃがみ撃ちの活用:低空の敵やフェイスハガーにはしゃがみ撃ちが必須です。
- 武器の取捨選択:囲まれている時に武器を拾うのは危険です。状況を見て判断しましょう。
- スマートガンを過小評価しない:弾数無限のスマートガンは持久戦の友です。
- 手榴弾は最後の保険:6体以上に囲まれた時の切り札として温存しましょう。
- 爆発ドラム缶:敵を誘導して一網打尽にしましょう。
5.2 協力プレイのコツ
- 十字砲火:立ち位置をずらし、死角をカバーし合いましょう。
- 役割分担:一人が囮になり、もう一人が攻撃するのが効率的です。
- 武器の共有:補給箱は早い者勝ちにならないよう、相談しましょう。
- 助け合い:相棒が囲まれたら即座に援護しましょう。
5.3 ボス戦の鉄則
- 行動パターンの観察:10〜15秒観察すれば隙が見えてきます。
- 雑魚優先:ボスより雑魚の攻撃が致命的になることが多いです。
- 引き撃ち:正面衝突は避け、常に距離を保ちましょう。
- 手榴弾のタイミング:雑魚が制御不能になった時に使いましょう。
5.4 上級者向け知識
- 難易度:日本版は海外版より簡単です。難易度を求めるなら海外版ROMを。
- 1UPの秘密:日本版では、武器を拾う際に前の武器の弾が残っていると、次の補給箱が1UPに変わる隠し要素があります。
- パワーローダーの価値:移動は遅いですが、近接攻撃は最強です。積極的に使いましょう。
6. アーケード伝説
6.1 忘れられたコナミの名作
1990年のコナミ作品の中で『エイリアンズ』は『タートルズ』に次ぐヒット作でしたが、移植されなかったため主流の記憶から消えてしまいました。『Computer and Video Games』誌では91%の高評価を得た隠れた名作です。
6.2 『ザ・シンプソンズ』のイースターエッグ
1991年の『ザ・シンプソンズ』のゲーム背景に『エイリアンズ』の筐体が登場します。そこからエイリアンが飛び出し、マージ・シンプソンが驚くというコナミらしい遊び心ある演出です。
6.3 「Winners Don't Use Drugs」
北米版の起動時に表示されるFBIの禁薬キャンペーン画面。日本版には存在しません。
6.4 ピンク色のエイリアン?
コナミのアートチームは、低解像度でも敵を視認しやすくするために、エイリアンを紫やピンク色にレンダリングしました。これは技術的制限ではなく、ゲームプレイを優先したデザインです。
6.5 移植されなかった悲劇
1990年当時のコナミの多忙さと、20世紀フォックスとのライセンス契約の複雑さが重なり、移植の機会を逸しました。その後、セガがライセンスを獲得したことで、コナミ版の移植は完全に閉ざされました。
6.6 「Suicide Mission」
あまりの難易度の高さから、プレイヤー間では「自殺任務」と呼ばれていました。
6.7 忘れられた「ゾンビ」
ゲーム中には「ゾンビ」のような敵も登場します。映画の忠実な再現よりも「面白さ」を優先したコナミの自由な創作姿勢が伺えます。











