1. ゲーム背景
1.1 世界観設定
1996年、CAPCOMは世界中のゲームセンターを熱狂させる偉業を成し遂げました。アメリカのマーベルが誇る人気ミュータントチーム「X-MEN」と、日本の国民的格闘ゲーム「ストリートファイター」のキャラクターを同じ画面で戦わせたのです。複雑なストーリー設定はなく、「パラレルワールドの衝突」というコンセプトのもと、ウルヴァリンとリュウ、ストームと春麗、マグニートーとベガが同じ戦場に集結。プレイヤーは両陣営からキャラクターを選んでタッグを組み、次々と現れる強敵を倒し、最終的に古代のミュータント「アポカリプス」との決戦に挑みます。
この理屈抜きのお祭り騒ぎこそ、90年代アーケード文化の最大の魅力でした。日本流の精密な格闘操作と、アメコミの誇張された美学が見事に融合。マグニートーの磁力で相手を封じ込め、春麗の百裂脚でトドメを刺すといったプレイが可能です。欧米市場を意識して導入されたタッグバトル形式は、その後の「VS.シリーズ」のワイルドな基調となりました。
1.2 開発の歴史
本作は、CAPCOMのCPS-2基板でリリースされたマーベルライセンス格闘ゲームの第3弾です(前作は『X-MEN: CHILDREN OF THE ATOM』と『MARVEL SUPER HEROES』)。プロデューサーに飯塚哲也、ゲームデザインに富田篤、音楽に岩井由紀と竹原裕子が名を連ねました。1996年9月9日に日本で稼働を開始し、翌月には北米でもリリースされ、当時最もコイン投入率の高い格闘ゲームの一つとなりました。
開発の転換点は、ゲームの核心を「シングルバトル」から「リアルタイムのタッグ交代」へと切り替えたことでした。富田氏の回想によれば、メインプログラマーの伊川氏は、この「無茶な全面改修」に追われたといいます。当初はキャラごとに交代攻撃のアニメーションを作る予定でしたが、最終的にキック動作に統一されたのは「一番しっくりきたから」であり、これが後のVS.シリーズの象徴となりました。また、もう一つの伝説的な要素はバグから生まれました。開発者の嵯峨田氏が作成したヒット時のフラッシュエフェクトが「当たった感じがしない」と削除されそうになった際、コードのミスでスーパー跳躍時に表示されてしまい、チームが「これ、いいじゃん」と採用。これがVS.シリーズでおなじみのスーパー跳躍エフェクトとなりました。
2. キャラクター紹介
本作には計17名の操作可能キャラクターが登場します。X-MEN側は『Children of the Atom』の素材をベースに(ローグ、ガンビット、セイバートゥースは新規描き下ろし)、ストリートファイター側は『ストリートファイターZERO 2』をベースに大幅なアレンジが加えられています。
X-MEN側(8名):
| キャラクター(英語) | キャラクター(日本語) | スタイル特徴 |
|---|---|---|
| Cyclops | サイクロップス | 中遠距離の制圧。眼からのビームは広範囲をカバー |
| Wolverine | ウルヴァリン | 高速近接戦。爪による連撃と素早い飛び込み |
| Storm | ストーム | 空中機動力がトップクラス。電撃旋風で画面を制圧 |
| Rogue | ローグ | 相手の技を吸収可能。戦術の幅が広い |
| Gambit | ガンビット | カードによる中距離牽制と流れるような棒術 |
| Sabretooth | セイバートゥース | 重量級の投げキャラ。突進速度が驚異的 |
| Magneto | マグニートー | 飛び道具による制圧と空中ダッシュの柔軟性 |
| Juggernaut | ジャガーノート | スーパーアーマーによる突進。通常攻撃で止めにくい |
ストリートファイター側(8名+1隠し):
| キャラクター(英語) | キャラクター(日本語) | スタイル特徴 |
|---|---|---|
| Ryu | リュウ | 万能型。真空波動拳の演出が非常に派手 |
| Ken | ケン | 昇龍拳の威力が強化され、空中コンボも強力 |
| Chun-Li | 春麗 | 百裂脚による起き攻めが強力。気功拳の弾速が速い |
| Charlie | ナッシュ | ソニックブームとサマーソルトで遠近両対応 |
| Dhalsim | ダルシム | 長い手足での牽制とヨガテレポートによる攪乱 |
| Zangief | ザンギエフ | コマンド投げのリーチが長く、スクリューパイルドライバーの破壊力は圧巻 |
| Cammy | キャミィ | 突進技の出が速く、スパイラルアローからのコンボがスムーズ |
| M. Bison | ベガ | サイコパワーの飛び道具が強力で、判定が非常に強い |
隠しキャラクター: 豪鬼——キャラ選択画面でマグニートー、ジャガーノート、ダルシム、ベガのいずれかにカーソルを合わせ「上」を入力すると選択可能。代名詞である「瞬獄殺」も使用可能。
最終ボス: アポカリプス——画面の3分の1を占める巨大キャラ。スーパーアーマーを持ち、拳を叩きつけての全画面衝撃波、ドリルアーム、目からのレーザー攻撃を行う。
3. 操作方法
3.1 基本操作
CPS-2の6ボタンレイアウト(弱中強のパンチ・キック)を採用。レバー前前でダッシュ、後ろ後ろでバックステップ。下から素早く上でスーパー跳躍、空中での8方向ダッシュが可能。ガード中に3ボタン同時押しでガードキャンセル。ガード中に「後ろ・斜め下・下」+強P・強K(ゲージ消費)でガードリバーサル(交代しながら反撃)。投げられた瞬間にパンチボタンで投げ抜け、吹き飛ばされた際に「後ろ・斜め下・下」+パンチで受け身。
交代システムが核心です。強P+強Kで交代攻撃(無敵の飛び蹴りで交代)。ゲージを2本消費して「下・前」+強P・強Kでヴァリアブルコンビネーション(2人同時に超必殺技を発動)。
3.2 超必殺技とチェーンコンボ
各キャラ1〜3種類の超必殺技を所持。リュウの「真空波動拳」は画面を貫通し、「真昇龍拳」は無敵の切り返しとして機能します。チェーンコンボは弱→中→強の順で繋げることが可能。空中コンボ(エリアルレイヴ)で相手を浮かせた後の追撃が基本です。
ヴァリアブルコンビネーションは本作の最も革新的なデザインであり、1996年当時のゲームセンターで強烈なインパクトを与えました。
4. 攻略の流れとボス攻略
アーケードモードは1本先取制で、全7〜8戦。
| ステージ | 場所 | 対戦相手 | 攻略のポイント |
|---|---|---|---|
| 第1-2戦 | Death Valley / The Cataract | ランダム | 練習ステージ。チェーンコンボの確認 |
| 第3-4戦 | Temple of Fists / On The Hilltop | 強力な組み合わせ | スーパー跳躍で弾幕を回避 |
| 第5戦 | Showdown In The Park | 強力な組み合わせ | 交代を駆使して体力を回復させる |
| 第6戦(条件) | 乱入戦 | 豪鬼+ランダム | ヴァリアブルコンビネーションでトドメを刺す |
| 最終戦 | Apocalypse Now! | アポカリプス | 下記参照 |
アポカリプス攻略: スーパーアーマー持ちのため、通常攻撃では怯みません。拳の衝撃波は腕の後ろに回ることで回避可能。ドリルアームは予備動作が長いため、ジャンプで回避。レーザーはスーパー跳躍で飛び越えます。欲張らずに攻撃後の隙を狙うのが鉄則です。
5. ゲームのコツと上級攻略
5.1 生存のための基本テクニック
-
こまめな交代。控えキャラは体力が徐々に回復するため、2人をバランスよく使いましょう。
-
浮かせ→スーパー跳躍→空中コンボ→超必殺技のルートを各キャラで習得しましょう。
-
ゲージが溜まったら迷わずヴァリアブルコンビネーションを発動しましょう。
-
ガードリバーサルは、追い詰められた時の脱出手段として非常に有効です。
-
スーパー跳躍と空中ダッシュを組み合わせた移動は、初心者が見落としがちな重要テクニックです。
-
アポカリプス戦では、欲張らずに攻撃後の隙を確実に叩きましょう。
6. 豆知識とアーケード伝説
4MB拡張RAMカートリッジの戦い: 1997年のセガサターン版は、史上初めて4MB拡張RAMカートリッジを必須としたゲームでした。当時の価格で5800円もしたこのカードは、アーケードの完全移植を実現しました。しかし、北米・欧州ではこのカードが発売されず、PS版はメモリ不足で交代システムが削除されるなど、移植の明暗が分かれました。
バグから生まれたエフェクト: ヒット時のフラッシュエフェクトは、本来削除される予定でしたが、バグでスーパー跳躍時に表示されたものが「かっこいい」と採用され、VS.シリーズの定番となりました。
豪鬼の噂: 本作で豪鬼は隠しキャラとして登場。選出方法はゲーム内で一切ヒントがなく、口コミだけで広がりました。
CPS-2の限界: 1996年当時、CPS-2基板の性能を極限まで引き出し、2人同時超必殺技でも処理落ちしない設計は、当時のCAPCOMの技術力の結晶でした。






