1. ゲームの背景
1.1 世界観
1992年、マーベル・コミックの人気ミュータントチーム「X-MEN」が初めてアーケードゲームの舞台に登場しました。物語はマーベル・ユニバースの王道設定に基づいています。人類の進化の次なる段階であるミュータントたちは、強大な能力を持つがゆえに社会から恐れられ、排斥されていました。プロフェッサーX(チャールズ・エグゼクティブ)の導きのもと、X-MENは人類とミュータントの共存を目指して戦います。
しかし、平和は長くは続きません。磁力を操る強大なミュータントのリーダー、マグニートーは、ミュータントこそが人類を支配すべきだと考えました。彼はプロフェッサーXとキティ・プライドを誘拐し、自身の宇宙基地「アステロイドM」に幽閉します。X-MENは街中やサベージランドを駆け抜け、最終的に宇宙のアステロイドMへと乗り込み、マグニートーの陰謀を阻止して仲間を救い出さなければなりません。
1.2 開発の歴史
『X-MEN』アーケード版は、1992年にコナミによって開発・発売されました。ベルトスクロールアクションの黄金期を象徴する作品の一つです。当時、コナミは『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』や『ザ・シンプソンズ』などのライセンスゲームで成功を収めており、その経験を活かしてマーベルの人気チームをゲーム化しました。
本作の最大の特徴は、前例のない「6人同時プレイ・2画面筐体」という設計です。2台のCRTモニターを横に並べることでワイド画面を実現するという、1992年当時としては非常に大胆なハードウェアの革新でした。この巨大な6人プレイ用筐体は、ゲームセンターの象徴的な存在となりました。6人のX-MENを同時に操作して戦うスケール感、ド派手なミュータント能力の演出、そして耳に残るボイスが、本作をアーケード史に残る名作へと押し上げました。
2. キャラクター紹介
6人のキャラクターから選択可能。それぞれが独自のミュータント能力(特殊攻撃)を持ち、使用すると体力をわずかに消費します。
| キャラクター | 能力名 | 特殊攻撃の効果 |
|---|---|---|
| サイクロップス | オプティック・ブラスト | 目から強力な赤いエネルギー波を放ち、前方を一掃 |
| ウルヴァリン | クロー・スラッシュ | アダマンチウムの爪で高速回転斬り |
| ストーム | ライトニング・ストーム | 雷を召喚し、画面全体の敵を攻撃 |
| コロッサス | エネルギー・ウェーブ | 体を鋼鉄化し、衝撃波を放出 |
| ナイトクローラー | テレポート・アタック | 瞬間移動で敵の懐に飛び込み奇襲 |
| ダズラー | ソニック・ブラスト | 強力な音波エネルギーで敵を攻撃 |
通常攻撃のリーチ、スピード、威力はキャラクターごとに異なります。ウルヴァリンは攻撃速度が速く近接戦向き、サイクロップスやストームはリーチが長く中距離戦向き、コロッサスは攻撃力は高いが動きが重めです。自分のプレイスタイルに合わせて選ぶのはもちろん、6人同時プレイでチーム全員が揃う壮観な光景を楽しむのも醍醐味です。
3. 操作方法
3.1 基本操作
8方向レバーと2つのボタンという、シンプルで直感的な操作体系です。
| ボタン | 機能 |
|---|---|
| レバー(8方向) | キャラクターの移動 |
| 攻撃ボタン | 通常攻撃(連打でコンボ) |
| ジャンプボタン | ジャンプ(空中攻撃も可能) |
| 攻撃+ジャンプ同時押し | ミュータント特殊能力発動(体力消費) |
3.2 2画面ワイドビューの仕組み
6人プレイ用筐体は2枚のCRTモニターを連結しており、通常の2倍の横幅があります。これにより、より広い戦場を見渡せますが、敵も画面のあらゆる場所から出現します。多人数プレイ時は役割分担が重要ですが、ソロプレイ時は左右からの攻撃に注意を払う必要があり、より高い集中力が求められます。
4. ステージ攻略とボス攻略
| ステージ | 場所 | ボス | 攻略のポイント |
|---|---|---|---|
| 第1面 | 街中 | パイロ | 火炎放射を避け、攻撃の隙に近接攻撃を叩き込む |
| 第2面 | サベージランド | センチネル軍団 | 小型を優先処理。大型は予備動作を見て回避 |
| 第3面 | 地下基地 | ブロブ | 正面突破は厳禁。スピードを活かして背後から攻撃 |
| 第4面 | 雪山 | ウェンディゴ | 移動が速いため、遠距離攻撃キャラで距離を保つ |
| 第5面 | マグニートー基地 | ミスティーク | 変身を見破り、本物に集中攻撃を浴びせる |
| 第6面 | アステロイドM | ジャガーノート | 突進は正面で受けず、上下に回避 |
| 最終面 | アステロイドM中枢 | マグニートー | 障害物で磁力攻撃を避け、チームで連携して翻弄 |
5. 攻略のコツ
5.1 生存のためのテクニック
- 特殊攻撃のタイミング:体力消費を伴うため乱用は禁物。敵に囲まれた際の緊急回避として使うのが最も効率的です。
- チームの立ち位置:多人数プレイでは一箇所に固まらず、画面全体に分散しましょう。ボスの広範囲攻撃を全員で食らうのを防げます。
- ジャンプ攻撃の活用:地面の攻撃を避けつつ攻撃できるため、一部のボスには非常に有効です。
- 回復アイテムの管理:回復アイテムは有限です。余裕がある時は体力の低い仲間に譲りましょう。
- 雑魚敵はコンボで:通常攻撃のコンボで素早く処理し、特殊能力はボス戦のために温存しましょう。
- マグニートー戦の極意:最終戦は長期戦です。最低でも2人は生存させておくことがクリアの鍵となります。
6. トリビアと伝説
6.1 「Welcome to die!」伝説
本作で最も有名なのは、マグニートーのセリフ「I am Magneto, master of magnet! Welcome to die!」です。本来は「Welcome... to DIE!」となるべきところが、文法的に不自然な「Welcome to die」となってしまいました。これがゲーム史上最も有名な誤訳・珍台詞として語り継がれています。2021年のアニメ『X-MEN '97』でもこの台詞がオマージュされるなど、30年経った今も愛されています。
6.2 6人筐体の衝撃
2画面を連結した6人プレイ筐体は、当時のアーケード界でも最も野心的なハードウェアでした。しかし、設置面積が広くメンテナンスも困難だったため、現存する完動品は非常に希少で、コレクターズアイテムとなっています。
6.3 ダズラーの抜擢
当時のX-MENの主要メンバーではなかったダズラーが選ばれた理由は、女性キャラのバランス調整と、音波攻撃の視覚的エフェクトがゲーム映えするためだったと言われています。このゲームのおかげで、彼女は原作以上の知名度を得ることになりました。
6.4 「X-MEN! X-MEN!」
ゲーム開始時やステージクリア時に流れる「X-MEN! X-MEN!」というアナウンスは、90年代のゲームセンターを象徴するサウンドとして、今なお多くのファンの記憶に刻まれています。






